社会保険加入要件①~適用事業所に使用される者~

皆様、こんにちは。社会保険労務士の出口勇介です。

本稿では、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するための要件について解説します。

1 社会保険加入の要件

社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する(被保険者となる)義務ある者とは、適用事業所に使用される者になります。

※ 今回は、①の「適用事業所に使用される者」の解説で、対象者は主に正社員になります。(社会保険に加入義務のあるパートタイム労働者については、別の記事の「4分の3基準」をご確認ください。)

1-1「適用事業所」とは

社会保険の加入は、原則として事業所単位(※)で行います。

※「事業所」とは各店舗や工場、事務所など事業を行う一定の場所のことで、必ずしも企業単位ではないという意味です。

ただし、すべての事業所に社会保険の加入義務があるわけではなく、適用事業所に該当する事業所に限り社会保険の加入義務があります。

適用事業所には、①強制適用事業所と②任意適用事業所の2種類があります。

①強制適用事業所

下記に該当する事業所は、法律上当然に適用事業所(強制適用事業所)となります。

・ 国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を雇用するもの

・ 個人経営で適用業種の事業の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するもの

②任意適用事業所

強制適用事業所に該当しない事業所であって、事業主が当該事業所に使用される被保険者となるべき者の2分の1の同意を得て厚生労働大臣に認可申請をし、その認可を受けることで、当該事業所を適用事業所(任意適用事業所)とすることができます。

1-2「使用される者」とは

「使用される者」とは、雇用契約により使用される労働者や、法人から労務の対償として報酬を受けている役員などをいいます。

※社会保険への加入義務のある役員については、別の記事に詳しく解説してあります。

個人事業主については、自分が自分を使用するという関係にはなり得ないので、「使用される者」に該当することはありません。(したがって、社会保険に加入できません。)

2 適用除外

下記の者は、適用事業所に使用される者であっても、社会保険に加入することができません。(適用除外)

  適用除外例外(社会保険に加入する)
1.日雇い労働者1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合は、その時から社会保険に加入する
2.2か月以内の期間を定めて使用される者所定の期間を超えて 引き続き使用されるに至った場合は、その時から社会保険に加入する
3.季節的業務に使用される者当初から継続して4か月を超えて使用される者は、当初から社会保険に加入する
4.臨時的事業の事業所に使用される者 当初から継続して6か月を超えて使用される者は、当初から社会保険に加入する
5.所在地が一定しない事業所に使用される者
6.国民健康保険組合の事業所に使用される者厚生年金保険には加入
7.後期高齢者医療保険の被保険者等
8.船員保険の被保険者船員保険の疾病任意継続被保険者
厚生年金保険には加入
9.厚生労働大臣、健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者(国民健康保険の被保険者であるべき期間に限る)厚生年金保険には加入
10.4分の3基準を満たさない者ある一定基準を満たす短時間労働者 ※詳しくはコチラ

3 社会保険加入手続を怠ったら

社会保険に加入義務があるにもかかわらず加入義務を怠った場合、事業主には、下記の不利益があります。

・ 過去2年間に遡って保険料が徴収される

・ 罰則として、6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる

・ 労働者が本来もらえる年金がもらえなかったことによる損害賠償請求される

・ 建設業の場合は建設業の許可がとれない

4 まとめ

社会保険の加入義務があるかは、

①事業所が適用事業所に該当するか、②適用事業所に使用関係にあるか、を確認してください。

次に、その者が4分の3基準を満たしているか

を確認します。

※ 4分の3基準については、コチラをご覧ください。

投稿者プロフィール

八王子の社会保険労務士・司法書士 出口勇介
八王子の社会保険労務士・司法書士 出口勇介
東京都八王子市にて、社会保険労務士・司法書士をしております。

1988年3月22日生まれ
三重県伊勢市出身(伊勢神宮がすぐ近くにあります。)
伊勢の美しい海と山に囲まれて育ったため穏やかな性格です。
人に優しく親切にをモットーとしております。
写真が趣味でネコと花の写真をよく撮っています。