キャリアアップ助成金社会保険適用拡大コースについて ~椿~ 2025.01.20

こんにちは。社会保険労務士の椿です。

このところ、何かと話題になっている年収の壁問題ですが、

今回はキャリアアップ助成金の「社会保険適用時処遇改善コース」について書かせて頂きます。

令和6年10月から、社会保険の適用が拡大され、従業員51人以上の会社についても

一部のパートやアルバイトの方にも社会保険加入が義務化されました。

令和6年10月の社会保険の適用拡大に伴って、

労働者を新たに社会保険に加入させるとともに、収入増加の取組を行った事業主に助成するのが、

キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」です。

キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」とは?

この助成金は、年収の壁を意識せずに働ける環境を後押しします。

今年は、社会保険適用時処遇改善コースをユニバーサルスタジオジャパンが活用して

460人が適用を受け、レギュラー勤務への転換が話題になっています。

コースは、3つに分かれています。

手当等支給メニュー

一つめは、手当等支給メニューです。

対象となる労働者に社会保険加入のタイミングで

1年目に賃金(標準報酬月額等)の15%以上を追加支給し、2年目も賃金(標準報酬月額等)15%以上を追加支給すると、

従業員1人当たりに対し、1年目で20万円、2年目も20万円3年目は賃金(標準報酬月額等)の18%以上を追加支給すると、

従業員1人当たりに対し、3年目も10万円トータルで50万円の支給を従業員の人数分受けることが出来ます

また、社会保険適用促進手当等の名称で労働者に支給された場合

その手当は本人負担分の保険料相当額を上限として、

社会保険料の対象にならず、労働者は、手取りが少なくなることがありません。

社会保険加入によって手取りが減ることを懸念して労働時間を短くし、

加入しないように働き控えを考える方も多いと思いますが、その分の手当を支給することで

手取りをある程度維持したまま労働時間を増やすことを支援していこうというのがこの助成金のねらいです。

労働時間延長メニュー

二つめは、労働時間延長メニューです。

こちらのコースは、週の所定労働時間を4時間以上延長するか、

または、労働時間延長と賃金の増額を組み合わせて頂くことで、

(事業主に対して一人当たり上限30万助成します。)

併用メニュー

三つめは、手当等支給メニューと労働時間延長メニュー併用メニューです。

1年目に、手当等支給メニュー、2年目に労働時間延長メニューの取り組みを行った場合に助成されます。

今の説明だけでは、対象となる労働者が事業所内にいるのか、

3つのコースのうちどのコースの対象になるのか分かりづらいと思いますが、

下記、リーフレットの「対象となる労働者をチェックしましょう」のフローチャート図に

イエス・ノーで、当てはめて頂くと、どのコースの対象となるのか

分かりやすく示されています!是非ご活用下さい。

スケジュールについて

キャリアアップ計画書提出

まずは、事前のキャリアアップ計画書を作成し、

管轄労働局に提出してください。

STEP
1

取り組みを開始

手当等の支給や、労働時間延長等の取り組みを開始します。

STEP
2

支給申請

取り組みを開始して、6か月経過後、支給申請をして頂きます。

STEP
3

取り組みを継続

【労働時間延長メニューの場合】

労働時間延長メニューの場合は、取り組み開始から6か月後に支給申請で終了。

【併用メニューの場合】

併用メニューの場合は、取り組み開始から1年6か月まで継続していく場合、

取り組みを行いながら、6か月経過ごとに、支給申請をして頂きます。

【手当等支給メニューの場合】

手当等支給メニューの場合は、取り組み開始から2年6か月まで継続している場合、

取り組みを行いながら、6か月経過ごとに、支給申請をして頂きます。

STEP
4

審査結果

審査結果が出るまで2か月から6か月ほどかかります。

STEP
5

※対象となる労働者は、社会保険の加入日の6か月前の日以前から継続して雇用され、

これまで社会保険の加入要件を満たさない条件で就業していた方になります。

キャリアアップ助成金の詳細については、都道府県労働局またはハローワークまでお問合せください。

社会保険の加入要件が拡大すると、どうしても労働時間を調整して、

労働時間を抑えようとする方は一定数いると思います。

そうなると、会社の人手不足はますます深刻になってくると思われます。

社会保険に加入することはデメリットばかりではありません。

社会保険に加入することで、将来の年金額も増え、

病気になった時は健康保険の傷病手当金、出産の際には出産手当金が支給され

保障が手厚くなるメリットもあります。

年収の壁を突破し、社会保険による処遇改善、事業主の皆様の人手不足の解消に

この助成金が役立てばと思いご紹介させて頂きました。

関東地方は乾燥した日が続き、インフルエンザも流行しているようなので、

みなさま体調に気を付けてお過ごしください。

投稿者プロフィール

椿
特定社会保険労務士の椿です。
ファイナンシャルプランナー、両立支援コーディネーター、ハラスメント防止コンサルタントでもあります。
休日は友達と好きなアーティストのライブに出かけてリフレッシュしています。