NPO法人の設立を考えてる方へ

皆様、こんにちは。司法書士の出口勇介です。

今回は、 今まで任意のボランティア団体として活動してきたけど、そろそろNPO法人を設立したいと考えている方に向けて、NPO法人とはどういった団体なのかどのように設立すればいいのかを詳しく解説します。

1 NPO法人とは

定義

「NPO法人」は、特定非営利活動を行うことを主たる目的としてNPO法に定める手続に則り設立された法人をいいます。(NPO法第2条第2項)

NPO法人を設立し、法人格を取得することで団体そのものが権利義務の主体となり、契約の当事者となることができます。

任意団体との違いは?

任意団体では、団体名義で財産を所有したり契約をすることができません。

したがって、活動に使う物を買ったり、その他の契約をするには代表者名義又は構成員全員の共有名義で行うことになります。

すると代表者が代わったり、構成員に変更があると権利義務関係の変更を行わなければならず、団体の活動に支障がでるリスクが生じます。

法人格を取得すれば、団体名義で契約をすることができるようになるので、代表者や構成員に変更があっても上記のような問題は生じません。

メリット

任意のボランティア団体からNPO法人になるメリットは下記のとおりです。

・法人格を得ることで、対外的に信頼されるようになる

・受けた寄付には課税がされない

・個人が寄付をすると所得税の所得控除又は税額控除を受けられるので寄付金を集めやすくなる

など

デメリット

任意のボランティア団体からNPO法人になるデメリットは下記のとおりです。

・活動の目的に制限がある

・税務申告が必要になる

・情報を公開する必要がある

など

2 NPO法人の特徴

特徴1:法人の目的は20分野

NPO法人は特定非営利活動を行うことを主たる目的としなければなりません。

「特定非営利活動」とは、①下記に掲げる20分野の活動であり、②不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいいます。(NPO法第2条第1項)

  保健、医療又は福祉の増進を図る活動
  社会教育の推進を図る活動
  まちづくりの推進を図る活動
  観光の振興を図る活動
  農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
  学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
  環境の保全を図る活動
  災害救援活動
  地域安全活動
  人権の擁護又は平和の推進を図る活動
十一 国際協力の活動
十二 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
十三 子どもの健全育成を図る活動
十四 情報化社会の発展を図る活動
十五 科学技術の振興を図る活動
十六 経済活動の活性化を図る活動
十七 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
十八 消費者の保護を図る活動
十九 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
二十 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

なお、特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、上記の特定非営利活動の資金・運営費にあてるため、「その他の事業」として、特定非営利活動以外の活動を行うことは可能です。(NPO法第5条前段)

この場合、その他の事業で得た利益は、これを当該特定非営利活動に係る事業のために使用しなければなりません。(NPO法第5条後段)

特徴2:営利を目的にできない

NPO法人は、営利を目的とすることができません。

営利を目的とすることができないとは、収益活動により得た利益を法人の構成員である社員に分配したり、寄付をしてくれた人に還元したりすることができないことを意味します(収益を得ること自体は禁止されていません。)

なお従業員に給与を支払ったり、役員に報酬を与えることは認められます。

※報酬を得ることができる役員の数については、役員総数の3分の1までという制限があります。(NPO法第2条第2項第1号ロ)

特徴3:役員の制限

役員は、理事が3人以上監事1人以上を置く必要があります。(NPO法第15条)

また、親族が役員になれる数にも制限があり、それぞれの役員について、配偶者若しくは3親等以内の親族が1人を超えて含まれ、又は当該役員並びにその配偶者及び3親等以内の親族が役員の総数の3分の1を超えて含まれることは認められません。(NPO法第24条第1項)

特徴4:所轄庁の監督

NPO法人は、所轄庁(NPO法人の認証権・監督権をもつ行政機関。)の監督下におかれます。

所轄庁の監督権の内容は下記のとおりです。

①設立の認証

NPOを設立するには、所轄庁に申請し、その認証を受ける必要があります。

②求報告・検査

所轄庁は、NPO法人が、法令等に違反している疑いがあると認められる相当な理由があるときは、業務・財産についての報告を求め、又は所轄庁の職員に、当該NPO法人の事務所等に立ち入り、その業務若しくは財産の状況、帳簿等を検査させることができます。

③改善命令

下記の事由に該当する場合は、所轄庁はNPO法人に対して改善命令を発することができます

・NPO法12条1項第2号、3号、4号に定める設立認証の要件を欠いたとき

・法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款に違反したとき

・NPO法人の運営が著しく適正を欠くと認められるとき

④設立認証の取消し

下記の事由に該当する場合は、所轄庁は設立の認証を取消すことができます。

・設立の認証があった日から6か月を経過しても設立の登記をしなかったとき

・③の改善命令に違反した場合であって、他の方法により監督の目的を達することができないとき

・3年以上にわたってNPO法29条に規定する事業報告書等の提出をしなかったとき

特徴5:毎年の事業報告書等の提出

NPO法人は、毎事業年度初めの3か月以内に前事業年度の事業報告書、計算書類、及び財産目録、年間役員名簿、前事業年度の末日における社員のうち10人以上の者の氏名・住所等を記載した書面を作成し、事務所に備え置くとともに、毎事業年度1回、所轄庁に提出しなければなりません。

特徴6:情報の公開

NPO法には、下記の情報公開制度が設けられています。

・設立の認証申請があった際に一定の事項の公告し、定款等を公衆の縦覧に供する

・NPO法人の事務所に事業報告書等を備え置き、利害関係人から請求があれば閲覧させる

・所轄庁は、提出を受けた事業報告書等につき、請求があれば閲覧又は謄写させる

3 NPO法人を設立するには

NPO法人の設立は、下記の手順により設立する

① 社員を10人以上集め、NPO法人の設立の検討

② 認証申請関係書類の準備、創立総会の決議

③ 所轄庁へ認証申請

④ 縦覧

⑤ 認証決定

⑥ 設立の認証書が到達

⑦ NPO法人の設立登記(⑤から2週間以内)

⑧ 所轄庁へ設立登記完了届出書を提出

※ NPO法人の設立を依頼される方は、コチラをご覧ください。

4 まとめ

いかがでしたでしょうか。

NPO法人の設立には、様々な法手続きがあります。

設立の手続でお困りの際は、当事務所にご依頼ください。

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投稿者プロフィール

八王子の社会保険労務士・司法書士 出口勇介
八王子の社会保険労務士・司法書士 出口勇介
東京都八王子市にて、社会保険労務士・司法書士をしております。

1988年3月22日生まれ
三重県伊勢市出身(伊勢神宮がすぐ近くにあります。)
伊勢の美しい海と山に囲まれて育ったため穏やかな性格です。
人に優しく親切にをモットーとしております。
写真が趣味でネコと花の写真をよく撮っています。