皆様こんにちは。東京都八王子市の社会保険労務士 出口勇介 です。
今回は、労働者の休憩時間中に電話当番をさせることは法律上、問題はないか解説します。
1 休憩時間とは
会社は、労働者の労働時間が6時間を超える場合、その労働時間の長さに応じて労働時間の途中に、休憩時間を付与する義務があります。(労働基準法34条第1項)
休憩時間とは、労働から離れることができる時間であり、休憩時間を付与する目的は、一定の時間、勤務をしたことにより蓄積した疲労を回復させて、労働能率を上げたり、不注意による労働災害を予防することにあります。
したがって、休憩時間は、肉体的、精神的に労働から完全に解放されなければ意味がなく、原則として労働者は、休憩時間を自由に利用することができます。(労働基準法第34条第3項)
2 休憩時間中の電話当番は、自由利用の原則に反するか?
前述のとおり、休憩時間とは、労働者が肉体的・精神的に労働から完全に離れて、自由に利用することができる時間のことをいいます。
したがって、休憩時間中に電話当番をさせられることは、労働者が電話の側を離れることができず、また、かかってきた電話に対応しなければならないという精神的に緊張を強いられた状態におかれているといえますので、自由利用の原則に反し、休憩時間とは評価されません。
この場合、電話当番をさせている時間は、労働時間として扱われることになります。
3 休憩時間中に電話当番をさせる必要がある場合の対策
それでは、休憩時間中にかかってきた電話に対応する業務上の必要性がある場合に、会社は、どのような対策をとればよいでしょうか。
一般的に考えられる方法としては、休憩時間を前半組・後半組に分け、交代制にする方法があります。
例えば、前半組は、11:30~12:30の休憩とし、後半組は、12:30~13:30の休憩とすることで、会社にかかってくる電話に対応することが可能となります。
ただし、休憩時間を交代制にすることは、労働基準法第34条第2項の規定により原則として禁止されていますので、例外的に休憩時間の交代制が認められる下記の事由に該当する必要があります。
① 事業場の業種が、労働基準法別表第1記載業種のうちの一部の業種であること
② ①以外の業種の事業場の場合、交代制を可能とする労使協定を締結している事業場であること
なお、休憩時間の交代制を導入しなくても、労働時間に関する規定の適用が除外されている「管理監督者」を休憩時間中に電話当番にさせることで対応する方法も考えられます。
※ 労働時間に関する適用が除外される「管理監督者」に該当するか否かは、狭義に解されるため下記の記事を参考にして判断してください。
管理職の労務管理を解説!~残業代が不要って本当?~
4 まとめ
休憩時間は、労働者が肉体的・精神的に疲労を回復する大切な時間です。
電話当番をさせる業務上の必要がないのであるならば、労働者の自由に利用させるようにしましょう。
投稿者プロフィール
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東京都八王子市にて、社会保険労務士・司法書士をしております。
1988年3月22日生まれ
三重県伊勢市出身(伊勢神宮がすぐ近くにあります。)
伊勢の美しい海と山に囲まれて育ったため穏やかな性格です。
人に優しく親切にをモットーとしております。
写真が趣味でネコと花の写真をよく撮っています。
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