皆さん、こんにちは。東京都八王子市の社会保険労務士あかつき事務所、代表の出口勇介と申します。
当事務所のホームページにお越しいただき誠にありがとうございます。
本稿では、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するための要件について解説しています。
是非、最後までお読みいただき社会保険の加入漏れがないようにしていだければ幸いです。
社会保険の加入要件
社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する(被保険者となる)義務がある者とは、「適用事業所」に「使用される者」です。
以下では、適用事業所とは何か、使用される者と何かについて詳しく解説します。
「適用事業所」とは
社会保険の加入は、原則として事業所単位(※)で行います。
※「事業所」とは各店舗や工場、事務所など事業を行う一定の場所のことで、必ずしも企業単位ではないという意味です。
ただし、すべての事業所に社会保険の加入義務があるわけではなく、適用事業所に該当する事業所に限り社会保険の加入義務があります。
適用事業所には、①強制適用事業所と②任意適用事業所の2種類があります。
①強制適用事業所
下記に該当する事業所は、法律上当然に適用事業所(強制適用事業所)となります。
・ 国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を雇用するもの
・ 個人経営で適用業種の事業の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するもの
②任意適用事業所
上記の強制適用事業所に該当しない事業所であって、事業主が当該事業所に使用される被保険者となるべき者の2分の1の同意を得て厚生労働大臣に認可申請をし、その認可を受けることで、当該事業所を適用事業所(任意適用事業所)とすることができます。
「使用される者」とは
「使用される者」とは、雇用契約により使用される労働者や、法人から労務の対償として報酬を受けている役員などをいいます。
具体的には以下があげられます。
①法人の役員(一定の要件あり) → 詳しくは別の記事「役員の社会保険への加入条件は?」をご参照ください。
②通常の労働者(正社員)
③1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が、同一の事業所に使用される②の通常の労働者の者と比べて4分の3以上であるものが該当します。(4分の3基準)
なお、個人事業主については、自分が自分を使用するという関係にはなり得ないので、「使用される者」に該当することはありません。(したがって、社会保険に加入できません。)
4分の3基準について
社会保険加入義務の基準である③の「4分の3基準」について詳しく見ていきます。
4分の3基準
①「1週間の所定労働時間及び1か月の労働日数」とは
就業規則、雇用契約等により定められた、その者が通常の週(※)に勤務すべき労働時間及び月の出勤日数をいいます。
※「通常の週」とは、振替休日・国民の祝日・夏季休暇・年末年始休暇等が含まれる週以外の週をいいます。
②「通常の労働者と比べて4分の3以上であるもの」とは
通常の労働者とは、正社員のことをいいます。
したがって、正社員と比べて「1週間の所定労働時間」及び「1か月の所定労働日数」が4分の3以上ある者が該当します。
【4分の3以上の具体例】
正社員の1週間の所定労働時間が40時間の場合 ⇒ 週30時間以上の所定労働時間
正社員の1か月の所定労働日数が20日の場合 ⇒ 月15日以上の所定労働日数
実際の労働時間と乖離がある場合
1週間の所定労働時間又は1か月の所定労働日数が正社員の4分の3未満の契約で雇用されたとしても、残業などにより常態として実際の労働時間及び労働日数が正社員の4分の3以上となっている場合どのように扱えばよいでしょうか。
こような場合、下記の基準を満たすのであるならば、当該労働者についても社会保険の加入義務があります。
4分の3以上が常態化している場合の取扱い
実際の労働時間又は労働日数が直近2か月において4分の3基準を満たしている場合で、今後も同様の状態が続くことが見込まれるときは、当該所定労働時間又は当該所定労働日数は4分の3基準を満たしているものとして取り扱うこととするとされています。
したがって、4分の3基準を2か月連続で満たし、今後も4分の3未満になることはないと見込まれる者については、3か月目に社会保険に加入する義務が発生します。
なお、日本年金機構が上記加入義務を判断する際に所定労働時間又は所定労働日数が、就業規則、雇用契約書等から明示的に確認できない場合は、実際の労働時間又は労働日数を事業主等から事情を聴取した上で、個別に判断することとなります。
4分の3基準を満たさない短時間労働者の加入義務
4分の3基準を満たさない短時間労働者であっても、下記の5つの要件を満たす場合は、社会保険に加入しなければなりません。
5要件
① 週の所定労働時間が20時間以上あること
② 雇用期間が2か月を超えて見込まれること
③ 賃金の月額が8万8000円以上であること
④ 学生でないこと
⑤ 「特定適用事業所」または「任意特定適用事業所」に勤めていること
賃金額8万8000円以上の判定方法とは
③の要件「賃金の月額が8万8000円以上であること」を判定するうえで、計算に含まれる賃金とは、基本給と諸手当の合算した額をいいます。
基本給が時給の場合は、時給額 × 週の所定労働日数 × 52週 ÷ 12カ月 で賃金の月額を求めます。
なお、諸手当についても合算しますが、下記の賃金は8万8000円以上かを判定するうえでの賃金からは除外されます。
8万8000円以上かを判定するための賃金から除外されもの
① 臨時に支払われる賃金
② 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
③ 時間外労働に対する割増賃金(時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当)
④ 最低賃金に算入しないことが定められている賃金(精勤手当、皆勤手当、家族手当)
※注意すべきは、年収が130万円未満であっても、月額8万8000円以上であり、自らが被保険者となった場合は扶養から外れることになります。
「特定適用事業所」、「任意特定適用事業所」とは
「特定適用事業所」とは、事業主が同一である1または2以上の適用事業所で、1年のうち6カ月以上、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時51人以上の事業所となることが見込まれている企業等をいいます。
※「被保険者数の総数が常時51人以上」の判定は、労働者の数ではなく、社会保険の被保険者の数で判断します。
「任意特定適用事業所」とは、国または地方公共団体に属する事業所および特定適用事業所以外の適用事業所で、労使合意に基づき、短時間労働者を健康保険・厚生年金保険の適用対象とする申出をした適用事業所をいいます
適用除外
下記の者は、適用事業所に使用される者であっても、社会保険に加入することができません。(適用除外)
| 適用除外 | 例外(社会保険に加入する) |
|---|---|
| 1.日雇い労働者 | 1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合は、その時から社会保険に加入する |
| 2.2か月以内の期間を定めて使用される者 | 所定の期間を超えて 引き続き使用されるに至った場合は、その時から社会保険に加入する |
| 3.季節的業務に使用される者 | 当初から継続して4か月を超えて使用される者は、当初から社会保険に加入する |
| 4.臨時的事業の事業所に使用される者 | 当初から継続して6か月を超えて使用される者は、当初から社会保険に加入する |
| 5.所在地が一定しない事業所に使用される者 | ― |
| 6.国民健康保険組合の事業所に使用される者 | 厚生年金保険には加入 |
| 7.後期高齢者医療保険の被保険者等(75歳以上の者等が該当) | ― |
| 8.船員保険の被保険者 | 船員保険の疾病任意継続被保険者 厚生年金保険には加入 |
| 9.厚生労働大臣、健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者(国民健康保険の被保険者であるべき期間に限る) | 厚生年金保険には加入 |
| 10.4分の3基準を満たさない者 | 一定基準を満たす短時間労働者 |
※ なお、厚生年金保険については、70歳以上の方は、原則として厚生年金保険に加入することができません。
加入手続き
使用者は、社会保険の加入義務があるの者を使用した際には、日本年金機構(又は健康保険組合)に「被保険者資格取得届」を提出しなければなりません。
提出の期限は、資格取得事由(使用される、適用事業所となる、適用除外に該当しなくなる)に該当した日から5日以内となっています。
被保険者資格取得届は、日本年金機構のホームページからダウンロードすることができます。
なお、健康保険に加入した者に被扶養者の要件に該当する親族がいる場合は、被扶養者の手続きも併せて行います。
被扶養者の手続きについては、別の記事で詳しく解説していますのでそちらをご参照ください。
→ 記事「これでわかる!被扶養者の認定要件!」
加入手続を怠ったら
事業主について
社会保険の加入義務があるにもかかわらず加入義務を怠った場合、事業主には、下記の不利益があります。
・ 過去2年間に遡って保険料が徴収される
・ 罰則として、6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる
・ 労働者が本来もらえる年金がもらえなかったことにより損害賠償請求される
・ 建設業の場合は建設業の許可がとれない
労働者について
社会保険の加入義務があるにもかかわらず事業主が加入手続をしない場合、労働者は、日本年金機構へ資格の確認請求をすることができます。(加入義務が確認されたら過去2年分にさかのぼって保険料が徴収されます。)
社会保険に加入義務があるにもかかわらず加入義務を怠った場合、事業主には、下記の不利益があります。
健康保険の資格喪失後の任意継続
健康保険に加入していた人が、退職や適用除外に該当したことなどを理由に健康保険の被保険者資格を喪失した場合で要件を満たし者であれば、引き続き2年間は、健康保険に継続して加入することができる制度があります。(任意継続)
なお、この制度は、健康保険の制度ですので、厚生年金保険については、任意継続はありませんので注意してください。
健康保険の任意継続については、別の記事で詳しく解説していますのでそちらをご参照ください。
→ 記事「これでわかる!健康保険の任意継続!」
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お問い合わせ投稿者プロフィール

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東京都八王子市にて、社会保険労務士・司法書士をしております。
1988年3月22日生まれ
三重県伊勢市出身(伊勢神宮がすぐ近くにあります。)
伊勢の美しい海と山に囲まれて育ったため穏やかな性格です。
人に優しく親切にをモットーとしております。
写真が趣味でネコと花の写真をよく撮っています。
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