社会保険加入要件②~4分の3基準とは?~

皆様、こんにちは。社会保険労務士の出口勇介です。

今回は、社会保険加入に加入する要件のひとつである「4分の3基準」について解説します。

1 社会保険加入の要件

社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する(被保険者となる)義務がある者とは、「適用事業所に使用される者」です。

「適用事業所に使用される者」とは、①法人の役員(一定の要件あり) ②通常の労働者(正社員) ③1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者の者と比べて4分の3以上であるものが該当します。4分の3基準

※ 「適用事業所」については、前回の記事をご確認ください。

今回は短時間労働者の社会保険加入義務の基準である②の「4分の3基準」について詳しく見ていきます。

4分の3基準

1)「1週間の所定労働時間及び1か月の労働日数」の取扱い

就業規則、雇用契約書等により、その者が通常の週及び月に勤務すべきこととされている時間及び日数をいいます。

※「通常の週」とは、振替休日・国民の祝日・夏季休暇・年末年始休暇等が含まれる週以外の週をいいます。

2)「通常の労働者と比べて4分の3以上であるもの」とは

通常の労働者とは、正社員のことをいいます。

したがって、正社員と比べて1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が正社員と比べて4分の3以上ある短時間労働者についても社会保険の加入義務があることになります。

【4分の3以上の具体例】

正社員の1週間の所定労働時間が40時間の場合 ⇒ 週30時間以上の所定労働時間
正社員の1か月の所定労働日数が20日の場合  ⇒ 月15日以上の所定労働日数

2 実際の労働時間と乖離がある場合

1週間の所定労働時間又は1か月の所定労働日数が正社員の4分の3未満の契約で雇用されたとしても、残業などにより常態として実際の労働時間及び労働日数が正社員の4分の3以上となっている場合どのように扱えばよいでしょうか。

こような場合、下記の基準を満たすのであるならば、当該労働者についても社会保険の加入義務があります。

4分の3以上が常態化している場合の取扱い

実際の労働時間又は労働日数が直近2か月において4分の3基準を満たしている場合で、今後も同様の状態が続くことが見込まれるときは、当該所定労働時間又は当該所定労働日数は4分の3基準を満たしているものとして取り扱うこととするとされています。

したがって、4分の3基準を2か月連続で満たし、今後も4分の3未満になることはないと見込まれる者については、3か月目に社会保険に加入する義務が発生します。

なお、日本年金機構が上記加入義務を判断する際に所定労働時間又は所定労働日数が、就業規則、雇用契約書等から明示的に確認できない場合は、実際の労働時間又は労働日数を事業主等から事情を聴取した上で、個別に判断することとなります。

3 4分の3基準を満たさない短時間労働者の加入義務

4分の3基準を満たさない短時間労働者であっても、下記の5つの要件を満たす場合は、社会保険に加入しなければなりません。

5要件

① 週の所定労働時間が20時間以上あること

② 雇用期間が1年以上見込まれること

③ 賃金の月額が8.8万円以上であること

④ 学生でないこと

⑤ 特定適用事業所または任意特定適用事業所に勤めていること(国、地方公共団体に属する全ての適用事業所を含む)

「特定適用事業所」とは、事業主が同一(※)である一または二以上の適用事業所で、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時500人を超える事業所をいいます。

「任意特定適用事業所」とは、国または地方公共団体に属する事業所および特定適用事業所以外の適用事業所で、労使合意に基づき、短時間労働者を健康保険・厚生年金保険の適用対象とする申出をした適用事業所をいいます

【令和4年10月の改正】

・要件②の「雇用期間が1年以上見込まれること」が「雇用期間が2か月を超えて見込まれること」と変更されます。

・特定事業所の要件である「被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時500人を超える事業所」が「被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所」に変更されます。

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【令和6年10月の改正】

・特定事業所の要件である「被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所」が「被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時50人を超える事業所」に変更されます。

4 社会保険加入手続を怠ったら

4-1事業主について

社会保険の加入義務があるにもかかわらず加入義務を怠った場合、事業主には、下記の不利益があります。

・ 過去2年間に遡って保険料が徴収される

・ 罰則として、6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる

・ 労働者が本来もらえる年金がもらえなかったことによる損害賠償請求される

・ 建設業の場合は建設業の許可がとれない

4-2労働者について

社会保険の加入義務があるにもかかわらず事業主が加入手続をしない場合、労働者は、日本年金機構へ資格の確認請求をすることができます。(加入義務が確認されたら過去2年分にさかのぼって保険料が徴収されます。)

5 まとめ

いかがでしたでしょうか。

社会保険の加入は法定の義務のため要件を満たした労働者は必ず社会保険に加入しなければなりません。

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投稿者プロフィール

八王子の社会保険労務士・司法書士 出口勇介
八王子の社会保険労務士・司法書士 出口勇介
東京都八王子市にて、社会保険労務士・司法書士をしております。

1988年3月22日生まれ
三重県伊勢市出身(伊勢神宮がすぐ近くにあります。)
伊勢の美しい海と山に囲まれて育ったため穏やかな性格です。
人に優しく親切にをモットーとしております。
写真が趣味でネコと花の写真をよく撮っています。