こんなときどうする?雪で通勤が困難なとき会社の対応は?

皆様、こんにちは。社会保険労務士の出口勇介です。

雪で電車がストップした。数年に一度の豪雪で、車での移動ができない。

今回は、このようなとき会社としてどのような対応をすべきかを詳しく解説します。

1 社員が有給休暇を申請した場合

年次有給休暇の請求に理由は問われません。(白石営林署事件:昭和48年3月2日)

したがって、雪で通勤が困難であることを理由として社員が年次有給休暇を請求することも可能です。

しかし、会社としては、社員に突然会社を休まれると困る場合もあります。

このような場合、労働基準法第39条第5項の規定により、請求された時季に年次有給休暇を与えることが事業な正常な運営を妨げるのであるならば、他の時季に年次有給休暇を変更してもらうことができ(時季変更権)、この時季変更権を行使して労働者を出社させることができます。

年次有給休暇を5日以上取得させる義務

2019年4月1日より年次有給休暇を10日以上付与されている労働者に対して、5日以上の年次有給休暇を取得させることが義務化されています。(労働基準法第39条第7項)

普段、年次有給休暇の取得に積極的でない労働者に対しては、このような機会に年次有給休暇の取得を奨励するなどして、会社の義務を果たせるようにしましょう。

※5日以上取得させる義務については、別の記事「年次有給休暇、5日以上与えています?」にて詳しく解説していますのご参照ください。。

2 通常の通勤手段とは異なる手段で出社する場合

2-1 通勤手当について

雪で電車が止まっているなどのため、いつもとは異なる手段で社員が出社した場合、通勤手当をどうするかという問題があります。

通勤手当については、その支給基準や支給金額は法律で定められていないので、会社の就業規則や個別の雇用契約書の内容に従って処理することになります。

例えば、就業規則等で通勤手当を支給する通勤手段を限定しているような場合、当該通勤手段と異なる手段で通勤してきた社員に通勤手当を支給する必要はありません。

しかし、このような場合でも通勤手当を支給する慣行があるならば通勤手当を支給する必要があり、また、慣行がない場合でも、例外的に通勤手当を支給するといった配慮をすることもできます。

2-2 通勤災害について

雪によりいつもとは異なる通勤方法・経路で出社した際に、通勤途中でケガをしたときは、通勤災害として労災保険の適用があるでしょうか。

通勤災害における「通勤」とは、 「労働者が①就業に関し、②住居と就業の場所との間の往復、 二重就労者の就業の場所から他の就業場所への移動 、又は単身赴任者の帰省先住居・赴任先住居の間の移動 を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、④業務の性質を有するものを除いたもの」をいいます。(労災保険法第7条第2項)

したがって、いつもとは異なる通勤方法・経路で出社したとしても、雪で通常の通勤が困難な状況下における合理的な経路及び方法であれば、通勤途中でのケガ等は通勤災害に該当することになります

※ 通勤災害についての詳しい解説は、「通勤途中にケガをしたときの対応」をご参照ください。

通勤途中にケガをしたときの対応

3 自宅待機を命じる場合

雪により通勤困難である、通勤途中に転倒のおそれがあり危険であるなどの理由により社員に自宅待機を命じた場合において、当該自宅待機をしている時間(不活動時間)が労働時間であると評価されるときは、会社は賃金の支払いを要します。

自宅待機の時間が労働時間であると評価される基準

下記に該当する場合は、自宅待機の時間(不活動時間)が労働時間であると評価されます。

・ 不活動時間中に、会社からの指示、顧客からの呼出しを受けるなどして、実際に業務に従事している、又は業務従事のために待機している

・ 上記の業務従事又は業務従事のための待機が、会社の指揮命令による又は黙示の義務付けによる

4 会社を休業とした場合

会社を休業とした場合どうでしょうか。

この場合、ノーワーク・ノーペイの原則から、労働者に対して賃金を支払う必要はありません。

しかし、当該休業が「使用者の責めに帰すべき事由」に該当する場合は、休業手当として平均賃金の60%を支給する必要があります。

なお、この使用者の責めに帰すべき事由は、広く認められますが、天災地変などの不可抗力による場合は、使用者の責め帰すべき事由はないと判断されます。

したがって、雪によって実際に営業ができないような場合は、休業手当を支払う必要はありせん。

※雪による休業が不可抗力に該当するかは、別の記事「台風等の自然災害による休業と休業手当」をご参照ください。

台風等の自然災害による休業と休業手当

投稿者プロフィール

八王子の社会保険労務士・司法書士 出口勇介
八王子の社会保険労務士・司法書士 出口勇介
東京都八王子市にて、社会保険労務士・司法書士をしております。

1988年3月22日生まれ
三重県伊勢市出身(伊勢神宮がすぐ近くにあります。)
伊勢の美しい海と山に囲まれて育ったため穏やかな性格です。
人に優しく親切にをモットーとしております。
写真が趣味でネコと花の写真をよく撮っています。